厚生労働省が公表した介護保険事業状況報告によると、要介護認定者数は、2021年度から2022年度で約5万人も増加し、約694万人となっているそうです。
高齢化により認知症や要介護(要支援)と認定される人が増えているためで、認知症の病状が進行して銀行から「意思能力がない」と判断されると、自由にお金が引き出せなくなる財産の凍結が起こる恐れがあります。
自分が将来そうなったときに家族に迷惑をかけたくないと考え、判断能力があるうちに対策を始めるかたが増えているものがあります。
それは「家族信託」です。
自身に代わって、判断能力のある家族に管理してもらうことで、自分の財産を無駄にすることなく、効率的に管理できます。
例えば父が委託者で子が受託者として家族信託の契約を締結した場合、仮に父が認知症を発症しても、既に子が父の財産を管理、運用しているので凍結が避けられます。
受託者となった子は、その責任と判断で不動産の売却や賃貸ができます。
一方、委託者である父は受益者となり、売却代金や利益を受け取ることができます。
家族信託とは、財産を譲ったわけではなく、財産の管理や処分の権限を与えただけです。
次回、建築のいろはで家族信託のメリットと4つの注意点をお話しします。